循環器内科のご紹介

循環器のイメージ

なんだか動悸がする…。息ぎれする…。胸が痛い…。肩こりがひどい…。
どれかひとつでも当てはまったら、循環器専門医にご相談ください。

たとえば、比較的身近な、高血圧や不整脈。
胸の痛みや息苦しさが、一過性にあらわれる狭心症。
心筋梗塞を起こせば、命にかかわる場合もあります。

あなたの症状にあわせ、あなたの意志を尊重しながら、
一人一人に合わせた検査・治療の選択肢を提示いたします。

人生100年時代。
健康で長生きできる習慣を、あなたといっしょにつくっていく。
そんな、あなたの一生に寄り添うパートナーとなれる循環器内科を、私たちはめざしていきます。

担当医師

金谷 翼
金谷 翼
院長・循環器専門医

当クリニックの循環器内科で判明する病気例概要

1.不整脈

不整脈とは、心臓の脈拍が正常とは異なるタイミングで起きる状態で、脈が速くなる(頻脈)、脈が遅くなる(徐脈)、予定されていないタイミングで脈が生じる(期外収縮)などがあります。最も、頻度が多いのは、期外収縮で、上室性と心室性に分類されます。
自覚症状が無い場合が多く、健康診断などで、偶然発見される場合もあります。
頻脈性不整脈の代表は、心室細動や心室頻拍です。一方、徐脈性不整脈では、完全房室ブロック、洞不全症候群などがあり、いずれの場合も、生命に危険性がある場合が多いため、ぜひとも専門医に御相談ください。

1-1.ブルガダ症候群

心臓の血管や心筋には異常がなく、普段はとても元気。それなのにある日突然、死に至る心臓病のひとつに遺伝性不整脈があります。主な遺伝性不整脈としては先天性QT延長症候群、カテコラミン誘発多形性心室頻拍、ブルガダ症候群などがあり、そのうち、先天性QT延長症候群、カテコラミン誘発多形性心室頻拍は子どもから比較的若年に多く、突然に危険な不整脈の発作が起こり、時には死亡に至ることもあります。
もうひとつのブルガダ症候群は1992年に欧州で発見、命名されたもので、中年の男性に多く、かつてぽっくり病と呼ばれた突然死のうちの一部はこのブルガダ症候群だったのではないかと言われています。この病気は心臓にある心室が突然にけいれんを起こしてしまうもの。けいれんしてしまう状態を「心室細動」と言いますが、心室の役割は血液を全身に送り出すこと。それがけいれんしてまったく血液を送り出せなくなると、脳が血液不足に陥り、人間は10秒ほどで失神してしまいます。さらにその状態が3分間ほど続くと脳がやられて死亡する恐れがあり、不整脈のうちでももっとも危険なタイプの不整脈ということができます。
こうした遺伝性不整脈は心電図にST上昇という特徴的な波形が右側胸部誘導(V1~V2)に現れるため、通常の心電図検査でも容易に発見することができます。ただし、確実に効く治療薬はありません。突然死の予防としては心室細動が起きた際に電気ショックを送って拍動を正常に戻すための埋め込み型除細動器(ペースメーカーの一種)が有効と言われています。ただ、親族に突然死をした人がいなければほとんど心配はないものと思われます。

2.心不全

心不全とは、何らかの心臓機能障害、すなわち心臓に器質的あるいは、機能的異常が生じて心ポンプ機能の代償機転が破綻した結果、呼吸困難や倦怠感が出現し、それに伴い運動耐容能が低下する臨床症候群と定義されています。
急性心不全と慢性心不全に分類されます。
急性心不全慢性心不全ともに、原因疾患は、高血圧性心疾患、弁膜症、虚血性心疾患(主として、心筋梗塞)、心筋症などがああります。
心不全には、左室駆出率が低下した(収縮機能不全)と、駆出率が50%以上の、拡張不全に大別されます。
いずれも、症状としては、息切れ、夜間呼吸困難、下腿の浮腫、易疲労感などがあり、血液検査で、BNP、NT-proBNPが高値となります。心エコー図検査は必須で、原疾患の同定、収縮機能障害と拡張機能障害の鑑別に有効です。治療に関しては、専門医にお問い合わせください。

3.狭心症

狭心症とは、一過性かつ可逆性の心筋虚血(心臓に血液が十分に行き渡らない状態)により、胸部症状(典型的には胸痛)を呈する症候群と定義されています。
診断は、胸痛発作時に、心電図にて、虚血性変化の確認が原則です。
分類方法は、様々ですが、一般的には、安定狭心症と不安定狭心症に分類されます。
前者は、動脈硬化症を背景に器質的冠動脈狭窄に基づく、心筋における酸素供給の減少によっておこります。
労作時(坂道を登ったり、階段の昇降時)に胸痛や胸部圧迫感を自覚して、診断を受けられるケースが多いと感じます。
後者は、冠動脈病変にプラークの破裂、血栓形成などに起因して発症するケースで、急性心筋梗塞に移行する例が多く、専門医に御相談ください。症状としては、胸痛の頻度が多くなり、安静時(静かにしている状態、運動時では無い時)にも出現することが、危険なサインです。

4.バセドウ氏病

喉仏の下にある甲状腺という臓器が異常をきたす病気のうちのひとつがバセドウ氏病です。甲状腺には全身の各器官の働きを活発にし、新陳代謝を促す役割を担う甲状腺ホルモンを分泌する役割があり、その機能が亢進あるいは低下することで全身が不調に陥ります。バセドー氏病は甲状腺機能亢進症の代表的な病気で若い女性患者が男性患者の5倍と、女性がかかりやすいのが特徴です。 症状は多岐に渡っており、暑がりでイライラする、疲れやすくなる、だるい、体重が減少あるいは増加する、微熱が出る、食欲が亢進あるいは低下、口が渇く、軟便や排便回数が増加する、手足が震える、骨粗鬆症になる、コレステロールの低下、血糖・血圧の上昇、肝障害、動悸、頻脈、心房細動、心不全、むくみ、息切れなど。一般にバセドウ氏病の症状として知られている眼球突出は必ず出るわけではありません。
診断のためには血液検査を行います。治療には甲状腺ホルモンの合成を抑える抗甲状腺剤を投与する薬物療法が一般的ですが、その他ヨウ素-131というアイソトープ(放射性物質)を飲む放射性ヨウ素内服療法、甲状腺を手術で切除し、作られる甲状腺ホルモンの量を減らす手術療法の3種類があり、その人の状態に合わせて選択されます。

5.心筋梗塞

不安定プラーク(脂質成分が多く、これを覆う、被膜が薄い状態で、容易に破裂、亀裂が生じてしまいます)の破裂(亀裂、破綻)に続いて、冠動脈内に血栓が形成され、急激に冠動脈の血流が低下してしまう病態を急性冠症候群と定義されています。この中で、最も、重篤な病態で、高度な心筋障害を伴い場合で、特に、心筋が壊死(死んでしまう)に陥ってしまう疾患です。
急性心筋梗塞と、慢性期になった、陳旧性心筋梗塞に分類されます。
診断は、狭心症とは異なり、心電図が経時的に変化する(典型的には、ST上昇、その後異常Q波の形成、陰性T波)のが特徴です。
また、心筋逸脱酵素(CPK、CK-MB)の上昇、心筋トロポニンTの上昇をもって、診断します。
重要な点は、診断基準には、胸痛は含まれません。これは、高齢者や糖尿病患者には、しばしば胸痛を自覚しないケースが多いからです。 急性心筋梗塞の初期治療は、再灌流療法が原則です。すなわち、冠動脈形成術(インターベンション)です。その後は、抗血小板薬の投与、合併症(高血圧、糖尿病、脂質異常症など)の治療を行います。
陳旧性心筋梗塞の治療は、急性心筋梗塞の安定期の上記治療と同じです。他に、薬物療法として、β遮断薬、ACE阻害薬の併用療法が推奨されています。

6.心房細動

一定のリズムで活動すべき心房が、無秩序に電気活動をしている状態を指します。
心電図にて、正常P波が無くなり、迅速な細動波を認められる、不規則な不整脈です。
肺静脈内から起きることが多いです。
加齢医とともに、発症頻度が高率となり、脳塞栓を合併する代表的な疾患です。
持続時間、停止様式から、発作性、持続性、永続性(慢性)に分類されます。
診断は、24時間ホルター心電図検査が有用です。心エコー図を行い、心臓の器質的な疾患の有無を調べることが大切です。
治療法としては、①心原性脳塞栓を予防するために、抗凝固療法、②心拍数を調節するレートコントロール療法、③洞調律を維持するための、リズムコントロール等があります。最近では、カテーテルアブレーションを行う施設が増加していますので、御相談ください。

6.心室細動

心室が、無秩序、頻回に興奮する病態で、心臓から、有効な血液が侵害に駆出出来なくなる状態です。
血圧が低下して、持続した場合は致死的で、蘇生が出来ても、脳死状態になる場合もあります。
心臓に、器質的な疾患がある例が多く、代表的な疾患としては、急性心筋梗塞、拡張型心筋症、急性心筋炎、複雑先天性心疾患、冠攣縮性狭心症患者などに、しばしば認められます。
心室細動を確認出来たら、まずは、心臓マッサージを行います。次に、除細動(AEDあるいは、体外式除細動器)を行う順番になります。
前記の、心疾患において、心機能が低下している例は、植え込み型除細動器を検討すべきです。御相談ください。

8.冠動脈狭窄

狭心症の説明を御参照下さい【狭心症を見る】。

9.帯状疱疹

帯状疱疹とは、水痘・帯状疱疹ウィルスが、患者の免疫能が低下していたり、ストレス、疲労時に再活性化したウィルスによって発症します。
好発部位は、三叉神経痛、肋間神経に沿った領域で、これらの神経節に潜伏感染しているのです。
小水疱、丘疹、紅斑が生じ、集簇化するのも特徴で、ピリピリ感を伴うことが多いです。
診断は、皮膚科医に御相談ください。最近は、抗原迅速キットも市販化されており、早期診断、早期治療は重要で、治療が遅れたり、不十分であると、帯状疱疹後の神経痛を生じ、難治性です。基本的には、抗ウィルス薬の内服または、点滴静注法があります。
詳しくは、皮膚科専門医に御相談ください。

10.大動脈解離

大動脈は身体の中でもっとも太い血管で、胸部から腹部にかけて位置しています。直径は胸部で2~3センチ、腹部で1.5~2センチほどもあり、大動脈解離は三層になった大動脈の中央の膜に亀裂が入って裂ける病気です。
この病気の怖いところは前触れなく、突然の激痛で発症すること。ゆっくりと進行する慢性のタイプもありますが、急性の場合、本当に短時間で進行します。痛む場所はどこで裂けたかにもよりますが、胸部や背中に痛みを感じることが多く、痛みが移動することもあります。
大動脈は身体の血流の本管とも言える存在で、脳や心臓、全身の臓器へ向かう動脈は大動脈から分岐しています。そこで大動脈に解離が生じると分岐した先の臓器への血流が途絶えてしまうことになります。その結果、脳に血流が届かなくなると脳梗塞、心臓の場合には心筋梗塞が起こるなど非常に危険な状態が招来することになり、突然死に繋がる可能性もあります。
大動脈解離には心臓にもっとも近い上行大動脈が解離するA型と、上行大動脈が解離していないB型があり、A型は死亡する危険性が高く、緊急手術が必要となります。A型と比較するとB型は重症度が低いと言われ、治療できる可能性があると言われます。ただ、その場合でも手術は必要です。
女性に比べると男性の発症は約2~3倍多く、60歳以上で発症が増加、ピークは70~80歳代となっています。動脈硬化がある、高血圧の人に多く、冬季に発症が増えることも分かっていますが、それ以外は不明なことも多い病気のひとつです。

11.肺血栓塞栓症

エコノミークラス症候群とも言われる肺血栓塞栓症は肺動脈に血液の塊である血栓が詰まる病気です。災害で避難していた人たちが長時間一定の姿勢を取り続けたことで発症、社会的に話題になったことを覚えている方もいらっしゃるでしょう。
災害時だけではなく、病気や手術後に長い間伏せっていたり、ギプスで長期間下肢を固定したりする場合などにも発生のリスクが高まります。女性の場合には妊娠期間中に凝固因子の異常が起こるなどして発生することもあります。
発症に先立っては下肢のむくみや痛みなどの症状が出ることがあると言われており、予防のためには軽い体操やストレッチなどで下肢を動かすことが大切です。厚生労働省はそれ以外にも十分にこまめに水分を取る、アルコールを控え、できれば禁煙する、ゆったりした服装をし、ベルトをきつく締めないなど6つのポイントを指摘しています。
発症すると突然に胸に痛みを感じるほか、胸苦しさ、動悸、冷や汗などが起こり、心筋梗塞や気胸などに類似する症状を呈します。血管の閉塞した範囲が広い場合には意識を失い、さらに最悪の場合には死に至ることも。
災害時その他身体を十分に動かせない状況下にあっても、できるだけ下肢を含め、身体を動かすようにしておくことが大事でしょう。

12.睡眠時無呼吸症候群

この10数年ほどで知られるようになった病気のひとつに睡眠時無呼吸症候群があります。文字通り寝ている間に何度も呼吸が止まる病気で、睡眠中、1時間に平均して5回以上、それぞれ10秒以上呼吸が止まる場合にはこの病気が疑われます。 日本では2003年に山陽新幹線運転士による居眠り運転で注目されるようになりました。この時には幸い自動列車制御装置が作動して停車、犠牲者は出ませんでしたが、以降、何度か睡眠時無呼吸症候群が関与したと思われる大きな事故が起きており、この病気の怖さを教えてくれます。
本人にとってもこの病気は命を縮める可能性があります。睡眠時に呼吸が止まることで心臓や脳、血管に大きな負担がかかるため、健康な人に比べて高血圧、心不全、脳卒中、不整脈、狭心症、心筋梗塞、突然死になるリスクが2倍以上も高いのです。そのため、現在では循環器系の分野で治療、研究が進んでいます。
前兆として多く見られるのがいびきです。日中の眠気、朝方の頭痛や夜間頻尿が出ることもありますが、いびき以外には自覚症状が出にくい病気でもあり、本人には分かりにくい病気のひとつ。周囲にいびきがひどい人がいる場合には呼吸が止まっていないか、注意を払い、医師の診断を受けるように勧めてみてください。
睡眠時無呼吸症候群というと、いびき+肥満の人を想像するかもしれませんが、それだけと思うのは勘違い。日本を含め、東アジアの諸民族は顎が小さく、もともと気道が狭い人が多いと言われており、肥満でなくても横になった時に気道が閉塞、いびきをかきやすいのだとか。肥満でなくてもいびきのひどい人には危険があるのです。
ただ、この間で診断、治療は進化しており、適切な治療を受けられれば状態は大きく改善します。軽症の場合には横向きに寝る、禁酒、睡眠薬の禁止、鼻疾患の治療、減量などといった生活習慣の改善だけでほぼ正常にまで改善することもあります。
それ以外では夜間、口腔内にマウスピースを装着するマウスピース療法、夜間、専用のマスクをして気道に圧力をかける持続陽圧呼吸(CPAP)療法が一般的です。

13.慢性腎不全

腎臓病には多くの種類の病気があります。腎臓そのものに問題が起きて病気になる(原発性)のものとしては腎炎があり、そのうちには部位によって糸球体腎炎や間質性腎炎がありますし、糖尿病や痛風その他の腎臓以外の病気が原因となっておこる(続発性)糖尿病性腎炎、腎硬化症、痛風腎なども。
加えて急性糸球体腎炎のようにあっという間に悪化するものの、治療で早々に快癒するものもあれば、末期になるまで自覚症状がなく進行する慢性糸球体腎炎、遺伝性の多発性嚢胞腎などもあります。
急性腎不全以外の場合には腎臓の機能は一度失われると、ほぼ回復することはなく、慢性腎不全という状態に陥ります。それまでには数カ月、数十年という長い年月がかかりますが、注意しなくてはいけないのは初期においてはほとんど症状がないことです。
夜間の尿の量が増える、脚や目の回りなどにむくみが出る、疲れやすくなる、食欲が落ちる、息切れがするなどの症状が出た時点ではすでに腎機能はかなり低下してしまっている可能性が高いのです。自分で気づくことが難しい病気といえるわけです。
そのため、重要なことは定期的に健診を受けること。実際、一般社団法人全国腎臓病協議会によれば、腎臓病患者のうち70%以上の方が健康診断をきっかけにして病気が分かったというデータがあるのだとか。健診が腎臓を守ってくれるのです。
健診のためには尿検査、血液検査が行われます。尿検査では尿に蛋白質や血液が漏れ出ていないかを検査しますが、激しい運動の後や発熱でも同様の結果がでることがあるので、一度検出された場合でも再検査が必要になることがあります。
血液検査では多種の値を調べて腎臓の機能を確認することになりますが、そのうちでも重視されるのが血清クレアチニン値です。クレアチニンは筋肉に含まれるタンパク質の老廃物で、普通であればすべて腎臓の糸球体でろ過されて尿中に排泄されるもの。ところが、腎臓の機能が低下してくると排泄される量が減少してしまい、血液中にクレアチニンが溜まることに。その結果、血清クレアチニンの値が高くなるのです。ただし、腎臓にある糸球体が3分の1以上壊れないと上昇してこないといわれています。
従って初期の腎臓病では値の変化が見られない場合もあり、そうした点を考えるとやはり定期に検診を受けることが大事なのです。
ちなみに血清クレアチニンの正常値は男性で1.2mg/dl以下、女性1.0mg/dl以下となっており、一般的には8.0mg/dl以上となると透析導入が検討されます。

14.脂質異常症(高脂血症)

脂質異常症とは、血液中のコレステロールや中性脂肪といった脂肪分が多すぎる、あるいは少なすぎる状態を指します。以前は高脂血症と呼ばれていましたが、高いだけではなく、低い場合も健康に影響を及ぼすことから、2007年に日本動脈硬化学会が診断名を脂質異常症に改訂しています。
脂質異常症が怖いのは痛い、辛いなどといった自覚症状が全くないこと。放置しておくと動脈硬化(血管の内側にコレステロールなどが付着して血管が狭く硬くなり、血行が悪くなること)が起こり、そこに血液の塊である血栓が詰まることで心筋梗塞、脳梗塞など生命に関わる結果を引き起こすのですが、そこに至るまで気づかないことが多いのです。
心筋梗塞、脳梗塞以外でも狭心症、糖尿病、CKD(慢性腎臓病)その他脂質異常症が引き起こす、あるいは併発しやすい病気はとても多く、早めに気づいて改善を図ることが健康維持のためには大事なポイントです。
具体的には食生活の改善、身体を動かすようにすること、禁煙が挙げられます。肥満の場合には体重を落とす必要も大事です。
食生活ではコレステロール値を上げないために動物性脂肪の摂りすぎに注意する必要がありますし、中性脂肪値は清涼飲料水やアルコール、甘いお菓子、食事などを摂り過ぎると高くなります。洋食よりも野菜や大豆製品、魚などを中心にする日本食のほうが脂質異常症の予防、治療に適していると言われています。
肥満解消には脂質異常症だけでなく、高血圧や糖尿病その他のいわゆる成人病の改善効果も見込めます。特に身体を動かすようにすることは体重の管理のみならず、善玉のHDL-コレステロールを増やす効果もあり、一石二鳥。HDL-コレステロールには血管の内側に沈着した悪玉コレステロールを肝臓に運んで除去し、動脈硬化の進行を抑える働きがあるのです。逆に喫煙はこの善玉コレステロールを低下させます。禁煙を勧められるのはそのためもあるのです。

15.サルコペニア

ここ数年でよく聞くようになった単語のひとつにサルコペニアがあります。これはギリシャ語で筋肉を表す「サルコ」と喪失を表す「ペニア」を組み合わせて作られた単語で、筋肉量が減少し、筋力はもちろん、全身的な身体機能が低下している状態のことを指します。こうした状態に陥ると転倒しやすくなり、それが原因で大腿骨骨折、寝たきりとなることで動けなくなる可能性があり、予防することが健康に長生きするためには大事と言われています。
たとえば、これまでは渡れていた横断歩道を青信号の間に渡り切れなくなってしまった、ペットボトルや瓶の蓋が開けにくい、体格指数(BMI)が18.5未満に痩せてしまったなどの変化があった場合には、サルコペニアを疑ってみても良いでしょう。
ひとつ、注意したいのは一般には体重の減少と同時に筋肉量の減少が起きることが多いのですが、その一方で脂肪が多く、筋肉が少ないサルコペニア肥満という状態もありますので痩せていなければ安心というわけではありません。
もうひとつ、似たような言葉にロコモティブシンドローム(運動器症候群、一般にはロコモと略されることが多い)があります。これは2007年に日本整形外科学会が提案した概念で、運動器の障害によって移動機能が低下した状態と定義されています。歩くことはもちろん、立ったり座ったりする機能が衰えるもので、進行すると介護が必要になる可能性が高くなってきます。ちなみにロコモティブとは本来機関車のことで、蒸気機関車を「スティーム ロコモティブ」と言いますが、医学的には関節、骨、筋肉などの運動器のことをさします。
ロコモの原因としては変形性関節症、骨粗鬆症など骨や軟骨、筋肉等の運動器を構成する組織の疾患が挙げられますが、サルコペニアはそうした特定の疾患ではなく、加齢によって筋力全般が落ちて行くもの。ロコモの要因のひとつに疾患ではなく、状態という意味でサルコペニアがあると考えれば分かりやすいでしょう。
いずれの場合も進行してしまうと良くなる可能性はほぼありません。早めに予防を考えて行く必要があるのです。
予防対策としては主に食事、運動に留意するやり方が推奨されます。また、栄養を十分に摂取し、運動機能の維持、改善するためには口腔機能の維持・改善も重要と言われます。歩く力と口腔衛生は一見遠く見えますが、実は健康維持という意味で関連性が高く、歯磨きも大切です。

16.胆石症(胆石)

胆石症(胆石)とは胆のうや胆管に結石ができるもので、できる場所によって胆のう結石、胆管結石、肝内結石の3種類に分けられます。
そのうち、もっとも多いのは胆のう結石で、大半は無症状とされていますが、時に突然の激しい痛み、発熱などを伴う発作(胆石発作といわれます)を起こすことがあります。また、胆のうの結石によって胆のう内の胆汁の流れが滞ってしまい、それが原因となって胆のう炎という細菌感染を起こすこともあります。胆石が胆管内にあると、胆管が委縮して疝痛発作を起こします。ですから、胆石が大きくなりすぎて胆のう内から出られなくなると疝痛発作はきたしません。
胆のう結石よりも症状を起こすことが多いのが胆管結石です。胆のうは胆汁を一時的に貯めておくための袋状の臓器ですが、胆管は言ってみれば管。その流れを胆石が塞いでしまうことで細菌感染が起こるのです。これを胆管炎と言い、短時間で重篤な症状に至ることもあり、緊急の対応が必要な病気です。
最後の肝内結石は肝臓内の胆管部分に結石が生じているもので、前述の2つに比べると比較的少ないケースです。
結石は通常は液体の状態になっている胆汁のバランスが崩れて、胆砂と呼ばれる沈殿を生じます。これが大きくなったものが胆石です。胆汁にはコレステロール、レシチン、胆汁酸、ビリルビンなどが含まれていますが、脂質の多い食事を続けていると、コレステロールが過多となり、次第に溶けきれなくなり、それが結石となります。胆石症の大半がこのコレステロール結石です。これは薬剤で溶けることはほとんどありません。
それ以外では胆汁に細菌感染が起こって生じるビリルビンカルシウム結石、肝障害などが原因となって黒色石という結石などがあります。
胆石症のリスクファクターとしてよく5Fというキーワードが挙げられます。これはForty(40代)、Female(女性)、Fatty(肥満)、Fair(白人)、Fecund・Fertile(多産・経産婦)を指していますが、それ以外でも脂質異常症、急激なダイエットなどが関与すると言われています。

17.頭蓋内血腫

頭部に外傷を負った結果、脳の内部あるいは脳と頭蓋骨の間に血液がたまった状態を頭蓋内血腫といいます。どこに生じたかによって硬膜外血腫(頭蓋骨と脳を覆う髄膜の一番外側にある硬膜との間)、硬膜下血腫(硬膜と髄膜の真ん中の層であるくも膜との間)、脳内血腫(脳の内部)の3種類があります。頭部外傷後に起こる出血にはもうひとつ、くも膜下出血がありますが、くも膜下出血の場合には一般的に血液が一カ所にたまることがないため、くも膜下出血は血腫とはみなさないとされています。
まず、硬膜外血腫は頭蓋骨骨折で血管が破れたことによる出血が原因となることが多く、外傷直後から数時間後に非常に激しい頭痛が起こります。その後、いったん頭痛が収まることもありますが、さらに数時間後、悪化してぶり返すことも。
この血腫の場合、硬膜によって脳とは仕切られた部分に血腫があるため、脳そのものに損傷がなく、かつ早期に手術を行うことができれば比較的予後は良好と言われます。
一方、硬膜下血腫の場合には急性、亜急性か、慢性かで危険度は異なってきます。特に危険なのは急性の場合。転倒、転落や自動車事故などによる頭部外傷で引き起こされる急性硬膜下血腫では血腫と脳の腫れが頭蓋骨内(頭蓋内圧)の圧力を上昇させ、それによって死に至るリスクとなることがあるのです。
慢性硬膜下血腫は、転倒しやすく、出血が起こりやすいアルコール依存症患者、高齢者によく見られます。同様に抗凝固薬または抗血小板薬など血栓をできにくくする薬剤を服用している人にも起こりやすいと言われます。本人も気にしない、忘れてしまう程度の外傷からごくわずかな硬膜下血腫が生じ、それが慢性化するのです。
時間をかけて進行するため、慢性硬膜下血腫は診断が難しくなります。特に高齢者で記憶障害や眠気などの症状が徐々に出てきた場合には認知症と診断されてしまうこともしばしば。認知症と思われていても慢性硬膜下血腫の場合なら血腫の除去によって認知症の症状も軽快することもあります。
脳内血腫は、重度の頭部外傷を負ったときによく生じるもので、高血圧が原因で出血する脳出血とは異なる痛態を示すため、外傷性脳内血腫と呼ばれることもあります。脳本体の損傷(脳挫傷)によって生じているため、手術が行えないこともあります。

18.脳腫瘍

脳腫瘍とは脳やその周囲など、頭蓋骨の中にできるできもの=腫瘍のことで、大きくは脳やその周囲の組織から発生する原発性脳腫瘍と、他の臓器で発生した癌が転移して起きる転移性脳腫瘍に分けられます。さらに原発性脳腫瘍には良性と悪性の2種類があります。 いずれの脳腫瘍の場合でも多くの場合、初期の段階から良性、悪性ともに圧迫症状が現れるのが特徴です。良性であっても、発症して能圧迫症状が出てきた場合には手術の適応となります。
具体的な症状としては身体の片側に麻痺や痺れが起こり、それによって歩けない、ふらつく、言葉が出にくくなる、人の話すことが理解しにくく感じる、片目が見えづらい、モノが二重に見えてくるなど。身体の片側に異常が起きたらおかしいと思ってください。
また、頭痛やてんかんの発作が起きることもあります。頭痛では朝起きた時に感じる場合には脳腫瘍が疑われます。脳腫瘍の症状は頭蓋骨内の圧力が高まることで起こってくるのですが、その圧力は睡眠中に高まることがあるとされるからです。
こうした症状は脳梗塞や脳出血の場合にも起こりますが、脳腫瘍の場合には徐々に症状が増強するのが一般的。腫瘍が少しずつ大きくなるためです。ただし、悪性度の高い神経膠腫のうち、最も進行が早くて危険な神経膠芽腫は急激に腫瘍が大きくなることもあるので、症状を自覚したらすぐに診察を受けるようにしてください。
身体の働きに異常がないかを簡単に自分で確認する方法もいくつかあります。たとえば、両方の足で交互に目をつぶって片足立ちをしてみましょう。この時、どちらかの足だとうまく立てずにふらつく場合には不安があります。あるいはやはり目をつぶって両手を広げ、片手ずつまっすぐ伸ばした人さし指を自分の鼻の頭に持ってきます。この時、指先が鼻の頭からずれる場合にはバランス障害が起きている可能性があります。

19.膵炎

膵臓は胃の裏側にある左右に細長い臓器で、みぞおちとへその間にあると思えば分かりやすいでしょう。膵臓は食べ物を分解、消化吸収するために必要な膵液という消化液を出す外分泌機能、血液中の糖分を調節するために必要なインスリンを出す内分泌機能という2つの異なる働きをしているのですが、このうち、外分泌機能が何らかの原因で誤作動を起こすのが膵炎です。
膵炎は膵臓が自分で出している食べ物を消化するための酵素で膵臓自身を消化するようになってしまう病気です。この現象が起きると膵臓がむくみ、出血、壊死など急性炎症が起こり始めます。それが急激に起きるのが急性膵炎、長い時間をかけて徐々に起こるのが慢性膵炎ということになります。
急性膵炎の場合は軽症で済むことが多いのですが、時には炎症が全身に影響を及ぼすこともあります。心臓、肺、肝臓や腎臓その他に影響が及ぶ場合には急性といっても命にかかわる状態になることがあり、注意が必要です。
急性、慢性、いずれの場合にも原因としてもっとも多いのはアルコールです。食後に発現することもあり、過度な飲酒、暴食がストレートに影響するのです。次いで多いとされるのが胆石で、男性の場合にはアルコール、女性の場合は胆石が原因となっているケースが目立ちます。
当然ですが、予防のためには飲酒量を節減し、暴飲暴食を避けることが大事。具体的には一度に食べる量を減らし、脂肪や香辛料などの刺激物は控える、一方でタンパク質を十分摂取するなどがポイントになります。ストレスや疲労をためない生活をおくることも大事ですし、喫煙は慎まなければなりません。
急性で発症した場合には腹痛発作を繰り返さないように心がければ慢性への移行は避けられます。健康で長生きするためには美味しく食べて飲める状態を心掛けたいところです。

20.メニエール病

耳が詰まったかのような違和感、耳鳴り、聴力の低下に続き、ぐるぐると目が回るような「回転性めまい」が起こるのがメニエール病の一般的な症状とされます。めまいが30分から数時間と長く続くことが多く、吐き気や嘔吐を伴うこともあり、30~50歳台での発症が多いといわれています。身体の平衡感覚を司る、耳の奥の内耳にリンパ液が溜まることによって生じる病気です。
比較的聞くことの多い病気ではありますが、なぜ、内耳にリンパ液が過剰に溜まる内リンパ水腫が生じるのかについては生まれつきの異常、アレルギー、内耳への血流不足その他いくつかの要因が考えられるものの、明確には解明されていません。ただ、ストレスや疲れがたまっている時に再発しやすいことから、自律神経のバランスが何らかの形で影響していると言われています。
メニエール病は再発しやすい病気のひとつでもあり、再発を繰り返していくうちに症状が悪化。徐々に聴力が落ちていきます。当初は低い音だけが聞こえにくくなりますが、進行するにつれ、高い音も聞き取りにくくなってきます。
基本的には薬の服用が治療の中心となりますが、劇的に効くというものではなく、再発を防ぐためには十分な休養を取るようにする、ストレスをためないようにするなど、生活習慣を改善することも大事です。

21.仮面うつ病

近年耳にするようになった病気のひとつに仮面うつ病があります。うつ病は精神と身体それぞれに症状が出る病気ですが、その現れ方は他の病気同様人それぞれです。うつ病の場合、精神症状があまり出ず、身体症状が強く出る状態のことを、仮面うつ病と呼んでいます。精神症状が身体症状という仮面を被って表れているようであるということからついた名称です。この言葉は正式な医学用語ではありませんが、概念としては非常に重要で、一般的にもよく使われるようになっています。
具体的な症状としては全身の倦怠感、めまい、吐き気、頭痛や眼の奥の痛み、腰痛、息苦しい、下半身がだるい、食欲が無くなる、便秘、口の渇きなどの不定愁訴を訴えることが多々あります。身体のさまざまな部位に症状が出るため、本人は身体の病気かと思い、内科、眼科、外科などを受診するものの、はっきりとした病気、原因が分からないとされてしまうことも多く、そうこうしているうちに症状が進んでしまいます。
身体的な症状はあるのに、どこに行っても原因が分からないと悩んでいる場合には一度精神科を受診してみることも必要でしょう。対処と治療法はうつ病同様。投薬と十分な休養、精神療法による治療が行われることになり、それによって身体症状も落ち着いてくるのが一般的です。
ちなみに厚生労働省のこころの健康や病気、支援やサービスに関するウェブサイト「みんなのメンタルヘルス」では自分で気づくうつ病の兆候として以下を挙げています。

・気分が沈む、憂うつ
・何をするのにも元気が出ない
・イライラする、怒りっぽい
・理由もないのに、不安な気持ちになる
・気持ちが落ち着かない
・胸がどきどきする、息苦しい
・何度も確かめないと気がすまない
・周りに誰もいないのに、人の声が聞こえてくる
・誰かが自分の悪口を言っている
・何も食べたくない、食事がおいしくない
・なかなか寝つけない、熟睡できない
・夜中に何度も目が覚める

いつもと違うと感じることがあれば、早めに受診、治療を受けるようにしたいものです。

22.心筋炎

心筋炎は心不全や致死的不整脈に繋がりかねない、健康な人でも突然発症する可能性があり、かつ急激な経過をたどることもある危険な病気のひとつです。名称の通り、心臓の筋肉に炎症が生じた状態を指し、様々な要因がありますが、多いのは風邪や胃腸炎などを引き起こすウイルス感染症に関連しての発症です。
ウイルス以外の、細菌や真菌などへの感染や薬物による副作用、放射線による合併症、自己免疫疾患なども原因となるとされていますが、明確な原因が分からないままに発症することもあります。 風邪や胃腸炎がきっかけとなることが多いため、初期の症状としては鼻水や咳、下痢、嘔吐などがあり、それによって心筋炎が発症すると全身に倦怠感を覚えるようになってきます。さらに進行すると呼吸困難、手足の冷え、尿量の低下、胸痛などといった心不全の症状が現れてきます。不整脈が起こることもあり、時には完全房室ブロックや心室細動などの致死的な不整脈が生じる場合もあります。そうなるとふらつきや失神が現れ、突然死に至ることもあります。
はっきりした診断が難しく、症状もさまざまであることから見過ごされやすく、予防のできない病気ですが、風邪や胃腸炎などが入口にあることを考えると、体調が悪い時には無理をせず、進行させないようにすることが大事でしょう。

23.肝炎

人間の体内で最大の臓器、肝臓にアルコールやウイルス、薬剤、自己免疫など何らかの原因から炎症が生じた状態を肝炎といいます。肝臓は沈黙の臓器と言われることもあるように、初期には特別な症状が現れないことが多く、症状が出現した時にはかなり悪化していることも少なくありません。また、急激に進行する劇症肝炎を発症した場合には命に関わることがあるため、注意が必要です。
軽い肝炎ではほとんど症状が出ないことが多いものの、炎症が強い場合には倦怠感を覚えることも。急性肝炎の場合には発熱、下痢、頭痛、体のだるさなどのように風邪に似た症状が出ることもあります。食欲が落ちたり、吐き気やお腹の痛みを感じたりすることなどもあり、黄疸や皮膚や白目の部分が黄色くなるケースなどもあります。
それを放置、肝炎が10年、20年あるいはそれ以上と長く続くと肝臓に繊維組織(コラーゲンなど)が蓄積するようになり、それが進行した状態を肝硬変といいます。肝硬変になった肝臓は固く、表面がでこぼこした不整な状態になり、肝機能も低下していきます。
腹水が溜まる、足がむくむなどの症状が出るようになり、さらに肝機能が悪化して血液中にアンモニアが増えてくると意識状態が悪くなり、おかしな言動が見られるようになってきます。この状態を肝性脳症といい、両手を前に出した状態にして手のひらに返した時に、手指が不規則に震える、羽ばたき振戦という症状が出ることで知られています。同時に食道静脈瘤を初めとするいろいろな合併症を伴いやすくなります。
さらに進むと発生するのが肝臓がんです。肝臓がんは健康な肝臓にできることはほとんどなく、多くは慢性肝炎、肝硬変で炎症、線維化が起きた肝臓に発生します。
当然ですが、ここまで放置してはいけません。症状で気づくことの少ない病気ですが、定期的に健康診断を受けていれば気づけない病気ではありません。特に家族に肝炎や肝臓の病気の人がいる、輸血や臓器移植を受けたことがある、透析を受けている、肥満気味である、大酒家であるなどの人は要注意。早期に発見できるようにしましょう。

循環器内科に関係するブログ