2020.02.06

心房細動と抗血栓療法 2

前回説明しました、組織因子(TF)について、もう少し、説明を加えたいと思います。TFは、分子量47,000(263アミノ酸残基)の1回膜貫通型の糖タンパク質で、白血球分画の単球、マクロファージ(動脈硬化の血管内に多く存在します)、平滑筋細胞、線維芽細胞、血管内皮細胞、心筋細胞など、多くの生体内の細胞に存在(発現)しています。つまり、我々の体のいたるところに、TFは、存在しています。特に、多いのは、脳、胎盤に多く存在(発現)しています。やはり、止血という観点から、我々の生体内で、特に、重要な臓器に多く存在しているのです。
人類は、考えてみると、感染(病気)、外傷(けが)との闘いでした。現代の我々には、直ぐに、イメージ出来ないかもしれません。病気になれば、病院、診療所で、直ぐに治療を受けることが、出来るのです。けがをすれば、治療が出来ます、勿論、その程度にもよりますが、外科的な処置や、必位お湯であれば、点滴(輸液)、輸血も可能ですが、昔は、けがは、命にかかわる、重大な出来事でした。そこで、止血ということが、人類にとって、重要であったわけです。
したがって、我々の、血液は、そもそも、固まりやすくなっているのです。この、止血、換言すれば、凝固という現象に、TFが重要な役割を果たしていたわけです。
前回詳述しましたが、TFは血栓形成に重要な血液凝固因子のため、TFノックアウトマウスは、胎生期に脳出血にて死亡してしまうため、基本的には、TFノックアウトマウスは生存出来ません。このため、TFの機能は、現在でも、不明な点が多いのが現状です。つまり、TFには、血栓形成以外の、機能が有るようですが、未だ、研究が十分進んでいないのが、現状です。
TFは、下図にも示しますが、凝固第VII因子あるいは活性化凝固第VII因子(第VIIa因子)と複合体を形成し、凝固第IX因子および凝固第X因子を活性化します。その結果、TFは、前述しましたが、TFⅠ分子から、約10分子の活性化凝固X因子(Xa)を生成することになります。つまり、逆の言い方をすれば、Xa活性を測定することは、TFの活性値を測定することになるのです。
今後は、この活性化凝固第X因子(Xa)の存在がとても重要です。また、その下流にある、トロンビンの位置づけも確認してください。

 

最近、注目されている、抗凝固薬は、上記の、活性化凝固X因子(Xa)や、トロンビンに対する拮抗作用で、抗凝固作用を有することになるのです。
次回は、最近使用されている、抗凝固薬について、もう少し説明しましょう。