人生100年時代ブログ

2020.09.01

喘息について①~症状・診断・検査~

気管支喘息(以下喘息)とは

まず、喘息の定義ですが、教科書では「気道の慢性炎症を本態とし、変動性を持った気道狭窄(喘鳴、呼吸困難)やせきなどの臨床症状で特徴付けられる疾患」とあります。これらの意味をご理解頂くために少し解説を加えてみます。

「気道の慢性炎症」とは、白血球のうち好酸球という血球成分が気管支にたくさん出現して、慢性的に気管支炎の状態になっているということです。

「変動性を持った気道狭窄」とは、ヒューヒュー・ゼイゼイしている患者さんに気管支を拡げる薬を使うと喘鳴が消えたり、標準治療薬の吸入ステロイド薬を続けていると徐々に閉塞した気管支が拡がったりする状態、つまり気管支が元に戻れる余地があることを示します。これを医学的には可逆性があると表現します。

また、これらの病態は、「気道過敏性亢進」と呼ばれており、アレルギー反応や様々な刺激に対し、気管支収縮が簡単に、繰り返し引き起こされた結果、気道が敏感になってしまっている状態をいいます。そこで、きちんとした治療介入を行い、良好な喘息コントロールを維持することで、その悪循環を断ち切っていくことが大切です。

もし喘息コントロールが良くなかった場合、持続する気道炎症は、気道傷害と気道構造の変化(リモデリング)を起こし、気管支が元に戻る可逆性を失ってしまい、気流制限をきたします。これはなかなか良くならない難治性喘息の患者さんにみられる気道変化です。

更に詳しく「気道リモデリング」の説明をすると、診療の現場で2000年に入った頃から使われるようになった用語です。リモデリングは「再構築」という意味で、気道で好酸球性炎症により喘息発作が起きると気道粘膜は損傷され、その気道の修復過程で、元に戻れれば修復となります。しかし、元に戻れず気道が厚くなったり、変形してまずい状態で治まったりしてしまった時にリモデリングと呼ばれます。

炎症が無くても、気管支を収縮させただけでリモデリングが起きてしまうことがあるため、とても厄介な現象です。従って、いかに炎症を抑えるかだけでなく、気道収縮も起こさせないようにするかが重要となります。

喘息の診断について

病気の診断基準には、大項目が〇項目合致、小項目が○項目合致したので○○病と診断されるというものがありますが、喘息はそのような基準がありません。その代わりに診断目安というものが示されており、喘息はこの目安に基づいて診断されます。
以下にその目安を記述します。

①発作性の呼吸困難、喘鳴、胸苦しさ、せきの反復。
②可逆性の気流制限。
③気道過敏性の亢進。
④気道炎症の存在。
⑤アトピー素因。
⑥他疾患の除外。
上記のうち、
 ①②③⑥は診断に重要。
 ④が好酸球性の場合は診断価値が高い。
 ⑤は喘息の診断を支持する。

これらの目安を使い喘息の診断をしていくのですが、目安⑥に関係する病気で、重要な鑑別疾患の代表として心不全気管支結核COPD(慢性閉塞性肺疾患)が上がります。

上記のように、喘息には確たる診断基準がないために、実臨床では「喘息」の過剰診断問題があり、真の喘息患者さん以外に喘息治療が行われている可能性が危惧されています。

喘息の検査について

喘息の検査は、気道炎症の評価、アレルギーの有無、肺機能などを検査するため、喘息の診断や重症度評価だけではなく、鑑別診断や併存疾患の診断にも役立ちます。以下では、呼呼吸器科領域で行われる検査を説明します。

まず、気道炎症の評価は、喀痰中好酸球比率(専門病院)、血液中好酸球数を調べて行います。また、喘息を主に診ている医療機関では、呼気中一酸化窒素濃度を計測できるところもあります。

続いて、アレルギーの有無については、問診から得られたアレルゲンの推定、その後の皮膚テスト(プリックテスト・スクラッチテスト・皮内テスト)や、血液検査でIgE抗体(総IgE抗体・特異的IgE抗体)を測定します。なお、専門病院では、喘息の誘因と疑われるアレルゲンエキスを使い、アレルゲン吸入誘発試験を行います。また、特殊な環境下で喘息発作を起こすなど、アレルゲンの推定が難しい時は、必要に応じて環境暴露試験を行い、置かれた環境に病因が認められれば原因物質の診断につながります。

肺機能の評価は、スパイロメーターという器機を用い気流制限の測定を行います。喘息が疑われ、検査結果で一秒量(息を思いきり吐いた時の最初の1秒間呼出量)が低下していた場合、気管支拡張薬を吸入して、吸入前後の改善量、改善率を測定します。この改善量や改善率が大きい程、喘息診断が支持されます。(気道可逆性試験)

また、喘息では気道過敏性(いろいろな外因性、内因性刺激に過度に気道が反応すること)を調べるために、気管支収縮薬を吸入し、気道収縮の程度を測定します。(気道過敏性試験)さらに最近では、専門病院における検査で補助的に呼吸抵抗の測定が行われることもあります。

喘息患者さんで、症状の不安定な方、発作時の自覚症状の乏しい方は、ご自身で喘息状態を知る必要があります。このような場合にはピークフローメーターという携帯し易い簡易測定器を使い、ピークフロー値を測定し自己管理に生かしています。