人生100年時代ブログ

2020.10.06

喘息について②~予防・治療

喘息のイメージ

気管支喘息(以下喘息)の予防について

喘息の予防対策は三段階に分けて考えます。それぞれ一次予防、二次予防、三次予防と呼ばれています。

一次予防は、喘息の発症を未然に防ごうというものです。小児では、主にアレルゲン感作前に行う予防策になります。成人では、アレルギー関与のない喘息が多いため、職業性喘息の様に感作物質の使用時に予防策が取れるようなものありますが、発症要因がわからない場合が多く一次予防は困難です。一次予防では、生活習慣の改善、健康教育、予防接種などが重要となります。

二次予防は、アレルゲン感作後に喘息の発症を前もって防ごうとするものです。そのためには喘息発症の危険因子(個体要因、環境要因)を持っている方を、早期に診断する必要があります。早期の診断により早期発見、早期治療介入が可能になります。

三次予防は、喘息発症後の増悪を防ごうとするものです。呼吸機能低下や喘息死を予防するために、増悪因子(喫煙、食品、妊娠、ペットなど)を回避することが重要です。

喘息の治療について―吸入薬

慢性疾患である喘息の治療では、長期管理薬が使用されます。これは継続的に使用することで、良好なコントロールを目指すためのものです。その治療薬のなかで主役となるのは、効果的な抗炎症薬である吸入ステロイド薬(以下ICS)です。

ステロイド薬には経口薬、筋注薬、静注薬もありますが、ICSは副作用が圧倒的に少なく安全に使用できるという利点があります。その薬理効果は、①炎症細胞浸潤抑制(肺・気道)、②血管透過性抑制、③気道分泌抑制、④気道過敏性抑制、⑤サイトカイン産生抑制、⑥β2刺激薬作用増強、⑦ロイコトリエン、プロスタグランデジン産生抑制の7つです。

臨床効果は、①喘息症状軽減、②生活の質(QOL)改善、③呼吸機能改善、④気道炎症制御、⑤発作回数・強度改善、⑥治療後長期ICS維持量減少、⑦医療費節減、⑧気道壁リモデリング抑制、⑨喘息死減少などが認められます。

このように、ICSは大変有力な治療薬ですが、喫煙者、高齢者、COPD合併者など、ICS反応性の低い方が3割程度いるため、万能薬ではありません。その場合は、反応性の高い患者さんに比べて治療に手こずることがあります。

また、ICSの副作用は少ないものの、皆無ではありません。よく知られている局所副作用としては、喉への刺激、口内乾燥、声がれ、カンジダ症、せき(加圧式定量噴霧吸入器使用時)などがあります。局所副作用(声がれを除く)を予防するには、ICS吸入後のうがいを徹底することが大切です。

加えて、全身性副作用も知っておくと良いでしょう。肺炎合併リスク上昇、糖尿病発症リスクや増悪などに注意が必要です。

その他の吸入長期管理薬で、ICSとともに汎用されているものとして、長時間作用性β2刺激薬(以下LABA)があります。喘息治療においてLABAを単独で使用することはなく、ICSと併せて吸入することが必要です。また、これらは別々に吸入するよりもICS/LABA配合剤として吸入した方が好ましいでしょう。吸入回数を減らせるだけでなく、LABA単独使用の防止にもなり、効果も相補的、相乗的に得られます。

注意点として、このタイプの薬剤ではβ2刺激薬の副作用が追加されます。手の震え、動悸、血清カリウム値低下による不整脈誘発などが代表例です。

最後に、長時間作用性抗コリン薬(以下LAMA)について解説します。これは、最近使われるようになった吸入長期管理薬です。ICS/LABA吸入療法を行っても喘息症状が残る場合に上乗せする吸入薬で、呼吸機能改善、喘息増悪予防効果が認められます。吸入回数が増えないよう、ICS/LABA/LAMA3剤配合剤の剤型もあります。

この場合、ICS/LABAの例と同様に、LAMAの副作用も加わります。最も多い副作用は口の渇きですが、重症心臓病合併例では慎重投与、閉塞性隅角緑内障や排尿障害のある前立腺肥大症例には禁忌対応となっていますので注意が必要です。

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喘息の治療について―吸入薬以外

喘息の基本治療では、多くの場合吸入薬が用いられますが、その他の薬剤を使用して追加治療を行うこともあります。代表例は、ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)、テオフィリン徐放剤、ヒト化モノクロナール抗体製剤などです。以下では、それぞれの治療薬について解説します。

 LTRAは、商品名ではキプレス(=シングレア)、オノンというものが使われています。気管支拡張作用、気道炎症抑制作用を持ち、吸入ステロイド薬と併せて使用します。アレルギー性鼻炎や運動誘発性喘息、鎮痛剤過敏喘息(通称:アスピリン喘息)などを合併している喘息患者さんに有用性があり、安全性の高さから妊婦さんに処方するケースもあります。

テオフィリン製剤は、商品名ではテオドール、テオロング、ユニフィルLAなどが多く処方されています。吸入薬がスタンダードとなる以前からある治療薬ですが、消化器症状や動悸などの副作用があるため、テオフィリンの血中濃度測定をしながら至適血中濃度内での投薬量調整が必要です。

また、併用薬、マクロライド系抗生剤、ニューキノロン系抗菌薬、花粉症・皮膚疾患に頻用されるヒスタミンH2受容体拮抗薬によっては、血中濃度上昇から中毒量域に入らない様にする調整が必要となります。

ヒト化モノクロナール抗体製剤には、現在使用できるものとして、抗IgE抗体製剤オマリズマブ(ゾレア®)、抗IL-5抗体製剤メポリズマブ(ヌーカラ®)、抗IL-4受容体α鎖抗体製剤デュピルマブ(デュピクセント®)などがあります。喘息患者さんのなかでも、最重症、難治性喘息の方に皮下に注射して用いますが、適応条件などが限られており、どこでも使えるものではないため、専門施設下での投薬が望ましいと思います。さらに必要であれば、抗アレルギー薬や漢方薬なども使うことがあり、喘息の治療では患者さんごとのテーラーメイド治療が行われています。

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