人生100年時代ブログ

2020.10.26

症状から病気を考える⑨~発熱~

●熱が出た

微熱、高熱の目安を知っておこう

発熱はいろいろな病気で起きる症状のひとつです。といっても何度出ているのかで想定される病気は異なり、それを知るためにまず知っておきたいのは発熱の定義。1999年施行の感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症予防法)では「発熱」を体温が37.5度以上を呈した状態をいい、「高熱」とは体温が38.0℃以上を呈した状態をいうとしています。一般にはよく微熱という言葉を使いますが、これは37度台、38度未満と考えれば良いわけです。

もうひとつ、よく使う言葉に平熱がありますが、これはその名の通り、平常時の体温のこと。ただし、これは一日のうちでも、また、測る場所によっても違うことがありますので、発熱時、医師に伝える時には注意が必要です。

微熱でも生命に危険が及ぶ病気は多数

微熱が続く病気の代表格が肺結核です。すでに撲滅された病気と思っている人もいるかもしれませんが、国内では約2000万人が感染していると推定されており、公益財団法人結核予防会疫学情報センター「結核の統計プチノート2018年版」によると2019年時点で約2200人が結核で亡くなっています。死亡者は60歳以上が70.8%を占めており、結核患者が多かった昭和20~30年代に、知らないうちに感染、高齢になって免疫力が落ちてきたことなどから発病、亡くなっているものと推定されます。

健康診断などでレントゲンを撮ると、肺の上部に過去に罹患したと思われる影が出ることもよくあります。ただ、これは新型コロナウイルスの場合でもそうですが、感染して肺炎を起こしていても8割は無自覚とされ、中にはレントゲンでは分からない人も多く、CTでの確認が必要です。

症状としては微熱が続くほか、体重低下、咳、痰などで、血痰が出ることもあります。咳、痰がでる場合には他人に感染する可能性が高くなるので、周囲への慎重な配慮を要します。

37度台の微熱が長く続く危険な病気としては感染性心内膜炎があります。これは歯科、泌尿器科、産婦人科などの小手術で体内に菌が入り、それが血液を経由して心臓に入り込んで心臓の弁や心内膜の傷などに付着、病巣を作る感染症で、心臓内で炎症を起こしたり、弁を壊したりするほか、病巣の塊が全身に流れて血管に詰まることで脳梗塞や腸管虚血などの重篤な病気を引き起こすこともあります。

主な症状は微熱とだるさ、食欲不振など。それによって体重減少、貧血を起こすこともあります。初期には微熱が続くだけで、血液培養をしても菌が出てこないため、なかなか原因が分からず、分かった時には非常に深刻な状況になっていることも。特に透析治療中の人や免疫を抑制する薬を服用している人は注意が必要です。

感染症、自己免疫疾患、悪性腫瘍が三大要因

ここまで2種類の感染症を取り上げましたが、それ以外のありとあらゆる感染症も発熱の原因となります。2020年時点で猛威を振るっている新型コロナウイルスも微熱が続くことが感染の目安と言われていますし、長年多くの人が感染してきたインフルエンザも発熱が特徴。ただし、インフルエンザの場合には突然発症し、数時間の間に38度以上、時には40度を超える高熱に。発熱中の随伴症状としては悪寒を感じる、咳が出る、頭痛や筋肉痛、食用不審なども。熱が下がった後も倦怠感が1~2週間続くこともあります。

それ以外の感染症で注意したいのは早期の治療が鍵となる腎盂腎炎や胆のう炎、髄膜炎など。それぞれに異なる随伴症状が出るのが特徴です。たとえば、急性の腎盂腎炎ではインフルエンザ同様に高熱、戦慄、悪寒が生じ、加えて強い腰痛なども起こります。ところが急性の胆のう炎ではもっとも一般的な症状は右季肋部(右わき腹)の痛みで、吐き気、嘔吐を伴うことも。高熱を発する人もいますが、腎盂腎炎のように高熱が必ず起きるというわけではありません。髄膜炎の場合には発熱のほか、頭痛、首の痛み・硬直、吐き気、痙攣、発疹などが主な症状です。

1型糖尿病や関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、グッドパスチャー症候群、バセドウ病、橋本病、多発性硬化症、自己免疫性溶血性貧血などといった自己免疫疾患も発熱を伴うことが少なくありません。自己免疫疾患とは本来は病原体から自分の身体を守るはずの免疫システムに異常が起こり、自分自身を攻撃するようになった状態を指します。当然ながら免疫機能の標的となる臓器によって症状は異なり、非常に複雑です。

また、悪性腫瘍(がん)も癌自体が発熱の原因となる場合があり、これを腫瘍熱といいます。どの癌の場合でも腫瘍熱は起こり得るとされますが、中でも頻度が高いのは血液系の癌である白血病や悪性リンパ腫などです。

怪我や熱中症、ストレスも発熱の原因に

それ以外にも発熱の原因は多数あります。たとえば、外傷、抜歯の後に熱が出ることがあります。その場合には怪我した箇所や抜歯した跡が腫れたり、膿んで感染を起こしていたりする可能性があり、放置は危険。早めの受診をお勧めします。

熱中症も体温が上昇、体温調節機能のバランスが崩れてしまうことで起きます。発熱はもちろん、めまい、全身倦怠感、頭痛、吐き気や筋肉のけいれん、ひどくなると意識障害を伴うこともあり、早めに気づく必要があります。

ストレスの多い状況下に置かれた時に体温が上昇する心因性発熱もあります。機能性高体温症とも呼ばれ、熱だけでなく、頭痛、腹痛、睡眠障害などが同時に現れることも多いのが特徴。解熱鎮痛剤は効かないため、ストレスの原因を探って対処していくことが治療になり、時間がかかることもあります。

それ以外では甲状腺機能亢進症などホルモンの異常によるものや、生理周期による発熱などもあり、一言で発熱といっても本当に多種多様。診察を受ける際には医師に発熱以外にどのような症状があるかをきちんと伝えることが大事です。また、何日か発熱が続いていた場合には体温の変動経過を記録しておくと有効。家族に同様の症状が出たことのある人がいないか、最近海外も含め旅行に行っていないか、服用している薬や持病についても伝えられれば診断の助けになります。