人生100年時代ブログ

2021.01.07

症状から病気を考える⑪~体がだるい、重い~

●体がだるい、重い

頻脈が原因となる体のだるさや重さ

病気を予防する上で血圧の数値に気を付けているという人は多くいますが、脈拍数にも同様に気を配る必要があります。健康のためには安静時の脈拍数を80回/分以下に抑えることが大切ですが、自ら動悸に気付くことは意外と難しく、自覚症状のない内に脈拍数が80回/分以上になってしまっていることも少なくありません。頻脈の定義は、脈拍数100回/分以上とされていますが、80回/分をボーダーとして意識しておくことを勧めます。
頻脈の原因として考えられるのは、バセドウ病による甲状腺機能亢進、心筋症や弁膜症、その他疾患による心不全など、さまざまなケースがあります。いずれにしても早期の治療開始が望ましいのですが、心不全の初期は無症状のため、なかなか気付くのが難しいでしょう。心不全では、はじめに食欲がなくなり、その一方で体内に水がたまるため体重が増加します。これらの症状と併せてむくみやだるさを感じるのであれば、心不全を疑う必要があります。
その他に貧血が原因で頻脈が起きることもあります。貧血の方は、単位血液量あたりの赤血球数が少なく、それを補おうと脈拍数が高くなるためです。
また、脈拍数が60回/分~90回/分と高くなるにつれて死亡リスクは直線的に高くなります。脈拍数が少ない人ほど長生きしやすいことは、心血管疾患の危険因子を調査するために1948年から米国で行われているフラミンガム研究でも明らかにされています。
しかし、実際には医師ですら、患者さんの脈拍に対する意識が薄いことも事実です。カルテに血圧だけを記載して、脈拍には不用心な医師も多くいます。そのような場合には別の病院での受診を検討することも一つの手でしょう。

体のだるさはうつ病が原因のことも

風邪やインフルエンザなど、体の不調からだるさを訴えることもありますが、うつ病がだるさの原因となることもあります。両者は全く性質が異なるもので、前者の場合には関節痛や筋肉痛のような倦怠感、後者の場合には慢性的な憂鬱感や意欲低下が特徴です。誰しも憂鬱に感じることはありますが、それが長期にわたる場合や、これまで楽しめていた趣味や娯楽を楽しめなくなった場合にはうつ病の可能性があります。
日本におけるうつ病患者の数は年々増加しており、厚生労働省の「患者調査」によれば2002年に70万人ほどであった、気分[感情]障害(躁うつ病を含む)の患者数は2017年に127万人を超えています。(https://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/data.html

だるさを感じる時間帯から病気を考える

だるさを感じるのが起床時なのか、夕方から夜間にかけてなのか、その時間帯も原因の特定に役立ちます。例えば、朝方にだるさを感じるのは低血圧の典型例です。早朝から午前中にかけて体のだるさや重さがあり、朝なかなか起きられないような場合には本態性低血圧が疑われます。
一方、夕方から夜間にかけて疲労感やだるさを感じるのは心不全の典型例です。心機能が低下するため、全身に十分な血液を送り出すことができず体が疲労しやすくなります。特に下肢のむくみを伴う場合には、心不全の疑いが強まります。心血管疾患が原因の可能性も考えられるため、循環器内科を受診すると良いでしょう。
また、内分泌疾患にはなりますが、バセドウ病の場合も基礎代謝が亢進し、エネルギー消費量が増加するため、疲れやだるさを感じやすくなります(易疲労性)。バセドウ病の特徴的な症状の1つである、汗っかきの「るい痩」もカロリー消費量の増加に伴って表れます。

適度な運動を心がけ、心機能を高めることが大切

頻脈はしばしば心機能の低下によって引き起こされます。予防のためには適度な運動を心がけ、心機能を高めることが大切です。特にテニスやフットサルなど、運動量の多いスポーツを日常的にしている人では、脈拍数が50回/分前後であることも珍しくありません。
また、運動はあらゆる病気の原因になりうる肥満の防止にもつながります。なお、肥満の判定にはBMI(BodyMassIndex:体格指数)を用いるのが一般的です。
BMI=[体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)] BMIは上の計算式で求めることができ、日本肥満学会では19.0~25.0の範囲を適正体重と定めています。日本は欧米に比べて、BMIが30を超えるような超肥満の人の割合は3%程度と少ないものの、適正体重を超えていれば減量に努めるべきです。