人生100年時代ブログ

2021.08.01

心筋梗塞

 心筋梗塞のイメージ

①心筋梗塞とは?

狭心症心筋梗塞とは、心臓に酸素と栄養分を運ぶ冠動脈が詰まって血液が流れなくなり、十分な酸素が不足して心筋(心臓を動かしている筋肉)が壊死してしまう病気のことを指します。狭心症が悪化すると心筋梗塞になります。

②心筋梗塞の原因は?

心臓の周りには冠動脈という血管がはり巡らされており、酸素を心臓の筋肉(心筋)に供給しています。心臓は絶えず動いているポンプとしての役割を担っているので、その役割を支える心筋は酸素を多く含む血液を必要とします。通常、運動などの労作やストレス状態などで心臓への負荷が増大すると、心筋が必要とする酸素量も増大します。血液の通り道である冠動脈が狭窄すると、冠動脈内の血流が制限され、供給できる酸素量も減少してしまいます。この状態で心臓への負荷が増大すると、心臓が必要とする十分な酸素が供給できなくなり、胸部の痛みや絞扼感などの症状を起こします。 冠動脈の狭窄が進行すると、安静時にも胸部症状が起きてきます。 冠動脈内の狭窄の原因は動脈硬化です。動脈硬化が進展すると冠動脈の内腔が狭くなり、LDLコレステロールが入り込み、プラークを形成します。冠動脈狭窄が進行してくると、プラークの破綻が起き、冠動脈の完全閉塞が起きます。 これが心筋梗塞と言われる状態です。心筋梗塞のほとんどは急性心筋梗塞で、突然胸痛や背部痛を自覚します。

③心筋梗塞の症状

脂汗が出るほどの激しい胸の痛みが特徴的な症状です。狭心症の場合は、症状は数分~10分程度で改善しますが、心筋梗塞の場合、症状は改善せず持続します。胸の中央部のみならず、左肩や顎、みぞおちのあたりに痛みを感じるケースもあります。心筋梗塞に伴い、心不全を発症すると、呼吸の苦しさやめまいなどを自覚することもあります。 肩の痛みやみぞおちの痛み、不快感といった症状の場合、整形外科疾患や消化器疾患として当初は診断されてしまうケースもあります。

④心筋梗塞の診断・検査

  • ・問診・診察 まずは症状を問診し、が筋梗塞を疑う状態なのかを判断します。③の項目で挙げたような症状がある場合は、狭心症疑いと診断し、検査を行っていきます。身体診察も行い、心雑音や肺雑音がないか、足のむくみなどないかを確認します。

  • ・心電図検査 まずは心電図検査を行います。心電図検査では心電図波形のST部分と呼ばれる部位の上下が認められることが多く、ST部分が上昇している心筋梗塞のことをST上昇型心筋梗塞(STEMI)と呼んでいます。一方で心電図波形のST部分が上昇していない心筋梗塞もあり、これは非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)と呼ばれます。

  • ・血液検査 心筋梗塞になると、採血にていくつかのマーカーが上昇してきます。代表例としてはCK-MBやトロポニンなどがあります。発症3時間~12時間ほど経過してから上昇してくる値になります。発症まもない時間帯には白血球が上昇してきます。これらの採血結果も参考にして心筋梗塞の診断をします。

  • ・画像検査 心筋梗塞が起きると心臓の一部の動きが悪くなり、体全体に血液を送るポンプとしての機能が低下します。超音波を使った検査を行うことで、心臓の動きや弁膜症を確認することがきます。 また、心筋梗塞によってポンプ機能が落ちた結果、肺のうっ血や心拡大が起きることがあり、胸部X線検査で状態を確認します。 心筋梗塞を確定する診断方法として、冠動脈造影検査があります。冠動脈造影検査とは冠動脈に造影剤を流し込み、X線撮影する検査です。股の付け根や手首等から動脈に入れたカテーテル(細い管)を冠動脈にまで持っていき、造影剤を冠動脈に注入し撮影します。これを行うことでどの血管が詰まって心筋梗塞を引き起こしているのかがわかります。

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⑤治療

初期治療を行い、速やかに再灌流療法を行うことが一般的です。 心筋梗塞と診断されたら酸素吸入、痛み止めの投与(モルヒネなどの投与)、ニトログリセリンの投与、アスピリンの内服などを行います。 心筋梗塞が起きたら、すぐに冠動脈のつまりを取り除き、血流を再開させる必要性があり、この治療を再灌流療法と呼んでいます。 以下の2つの方法があります。

  • ・カテーテル・インターベンション(PCI) カテーテルを大腿の付け根や手首の動脈から入れ、冠動脈の閉塞した部位まで持っていき、カテーテルの先端からバルーン(風船)を出して閉塞した部位を拡張したり、金属の筒であるステントを留置したりする治療方法のことです。バルーンは何度でも出し入れが可能なものですが、ステントは1回留置すると回収することは不可能で留置されたままの状態となり、体の中に残ります。再灌流療法としてPCIが一版的になってきてから、心筋梗塞の救命率は上昇しました。局所麻酔で行うことができ、外科手術に比べると体への侵襲が少ないのが利点です。この治療を行った場合、留置したステントには血栓が付きやすいという副作用があるので、血をさらさらにする抗血小板薬の継続内服が必要となります。抗血小板薬の内服により、出血がしやすくなったり、別の外科手術の際に一時的に中止する必要性が出てきたりします。
  • ・血栓溶解療法 ウロキナーゼや組織型プラスミノーゲンアクチベータ(t-PA)などの血栓溶解薬を使って再開通を試みる方法です。薬を静脈から注入する経静脈的血栓溶解療法(IVT)とカテーテルを使って冠動脈内に直接薬を流し込む経皮的冠動脈内血栓溶解療法(PTCR)があります。

日本ではPCIが可能な医療機関が多いため、PCIを優先することが多く、血栓溶解療法は第2選択とすることが多いようです。

⑥合併症

心筋梗塞に合併して起きる疾患があります。

  • ・心不全 左冠動脈が閉塞して梗塞が起きると左心室の動きが低下し、ポンプとしての機能が低下し、心不全を起こすことがあります。
  • ・心原性ショック 心筋梗塞が重症の場合、ポンプとしての機能が著しく低下し、ショック状態と呼ばれる重篤な循環不全に陥ることがあります。
  • ・致死性不整脈 心筋梗塞になると、不整脈、特に致死性不整脈の出現が多くなります。心室頻拍はときどき見られ、心室細動に移行することもあります。それらの不整脈は致死性なので、電気的除細動を速やかに行うなどの対応が必要です。また、右冠動脈が原因の心筋梗塞のときは徐脈性不整脈になることがあり、一時的ペースメーカーが必要となったりします。
  • ・心破裂 心筋梗塞を起こした結果、心臓の壁(自由壁)が破裂したり、心室の間の壁(心室中隔)の穿孔が起きたりします。心破裂は致命的な合併症になります。

⑦予防

心筋梗塞は命に関わる非常に危険な病気であり、予防が重要になってきます。高血圧、高コレステロール血症、糖尿病、喫煙などがリスク因子になります。こういった生活習慣病がある方は早期治療を行うことで、心筋梗塞を予防することができます。