2020.02.07

心房細動と抗血栓療法 3

前々回説明しました、ビタミンK拮抗薬(ビタミンK依存性血液凝固因子の第Ⅱ、Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ因子)である、ワルファリンは、長年、経口抗凝固薬として、心房細動、静脈血栓塞栓症に使用されてきました。ワルファリンの投与量と抗凝固効果には、個人差が認められます。この個人差には、肝代謝活性が強く影響しており、特に主代謝酵素であるCYP2C9の遺伝子変異の関与が強く関与していました。つまり、ワルファリンの維持量には個人差があるのです。また、食物や、併用薬物との相互作用が有り、管理が難しいという弱点がありました。
2011年よりトロンビン阻害薬のダビガトラン、Xa阻害薬のリバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバンという直接経口抗凝固薬(Direct oral anticoagulants:DOAC)が使用可能となり、抗凝固薬としての選択肢が広がりました。DOACは、ワルファリンに比べて、薬効の個人差や、食物、併用薬との相互作用が少なく、固定用量で安定した効果が得られることが判明しています。
前回説明しました、血液凝固因子の図を思い出してください。血液凝固因子Xaは、内因系、外因系の双方が交差する血液凝固因子です。したがって、Xa阻害薬は、強力な抗凝固薬と言えます。一方、トロンビンは、凝固経路でいうと、Xaの下流となります。
下図に、4種類のDOACの薬剤特性を説明します。

上記DOACは、Xa因子や、トロンビンを選択的に阻害することで、抗凝固作用を発揮するため、最近の大規模臨床試験において、ワルファリンに比べて、頭蓋内出血や、出血性脳卒中の頻度が少ない事が判明しています。

上記DOACにおいて、ダビガトランとアピキサバンは、1日2回服用する必要が有り、一方、リバーロキサバンとエドキサバンは1日1回の服用での有効性が確認されています。ダビガトランは、腎排泄が主であるため、高齢者、腎障害患者様においては、減量または、中止が必要です。リバーロキサバンは、人種における血中濃度に変動が確認されています。日本人においては、15mgが推奨されており、腎機能低下例においては、10mg投与である。アピキサバンは、年齢、体重、腎機能によって、投与量が決められています。㏠2回投与で、常用投与量は、㏠10mgであり、上記補正が必要な例は、㏠5㎎が推奨されています。