人生100年時代ブログ

2020.07.01

症状から病気を考える④~体重の増加・減少~

●体重が急に減った、急に太った

急激な体重減少は癌など危険な病気の兆候

体重の急な減少、増加には危険な病気が隠されている可能性があります。特に注意したいのは2~3カ月で5~6キロなどと急激に減少する場合。おかしいと思ったら、できるだけ早く、医師の診断を仰ぐべきです。

いくつか疑われる病気があります。そのうちでも危険な病気のひとつは癌。特に強く疑われるのは消化器の癌です。癌によって食欲とともに消化、吸収の働きが低下、それによって体重が減少するのです。ただし、人によっては食欲が落ちないこともあります。

体重減少以外に下痢、便秘を繰り返す、お腹が張る、腹痛がある、便が細いなどの症状がある場合には大腸がんが疑われます。血便、下血が見られることもあります。膵臓癌の場合にはすぐにお腹がいっぱいになる(腹部膨満感)、腹痛、黄疸や腰、背中などの痛みが出ることが多いようです。胃癌ではみぞおちに痛みや不快感、違和感がある、吐き気、胸やけなどの症状を聞きます。

ただし、症状の出方は人によってさまざま。何の自覚症状もない人もいます。また、たとえばみぞおちの痛みは胃炎、胃潰瘍などでも起こります。消化器以外の癌で体重が減少することもあり、何が本当の原因なのかを調べるための第一歩は医師に自分に出ているのはどういう症状なのかをきちんと伝えることです。

癌以外では甲状腺機能亢進症(バセドー氏病)の可能性もあります。その場合には食欲はあるのに痩せていくことが多く、汗をかく、手や指先が震える、動悸を感じる、疲れやすくなるなどの随伴症状(ある疾患に付随して起きる副次的な症状のこと)が出ます。

糖尿病でも起きる体重減少

意外に思われるかもしれませんが、糖尿病でも急激な体重減少が起きます。糖尿病患者には太っているというイメージがありますが、病気が進行し、体内のインスリンが極度に不足すると、身体はエネルギー不足に陥ります。その結果、急激な体重減少が起こるのです。激しい場合には1カ月で数キロから10キロも減ることがあり、このような時には意識を失う、死に至るケースなどもあり、非常に危険です。

糖尿病が疑われる随伴症状としては喉が渇いて水分をよく飲むようになる、多尿・頻尿や尿が出にくい、残尿感がある、だるく疲れやすいなど。手足がしびれる、視力が落ちる、肌がかさつくなどの症状も出ます。

それ以外に疑われる病気としてはうつ病や認知症、神経性食欲不振症などといった精神的な疾患、アルコール依存症、尿毒症、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、慢性心不全などもあります。

フレイル(虚弱)という状態の可能性も

急激な体重減少以外にも注意すべき体重減少があります。痩せようと思っているわけではないのに、半年で2~3キロ以上徐々に体重が減少、わけもなく疲れた感じがある場合にはフレイル(虚弱)という状態である可能性を考えてみましょう。

フレイルとは健康と要介護の間の状態を指し、「虚弱」を意味する英語”Frailty”を元にした造語です。2014年に日本老年医学会が提唱、健康寿命を延ばすためにはこの状態を予防することが大事と認識されるようになりました。

体重減少のほか、疲労感がある、筋力の低下、歩行速度の低下、身体を動かす活動をしていないといった5つの項目のうち、3つあてはまるものがあるとフレイルの可能性が高いとされます。1つあてはまる状態でも危険はあります。

特にサルコペニア(筋肉減少症)と呼ばれる、急激な筋肉量の減少はフレイル最大の危険因子であると考えられています。加齢とともに筋肉が減っていくのは自然なことですが、それが急速に進むと活動に制約が出てきます。

ことに多く見られるのは広背筋や腹筋、膝伸筋群、臀筋群などの、立ち上がったり、歩いたりする際に使う筋肉の減少です。こうした筋肉が衰えると歩くのが億劫になり、しばしば躓くようになり、やがては歩かなくなり、そして歩けなくなりと行動範囲はどんどん狭まっていきます。

そうなるとフレイルは体重減少、筋力低下などの身体的なものだけに留まらなくなっていきます。意欲、判断力や認知機能の低下などといった精神的フレイル、引きこもり、個食などによる社会的フレイルが加わり、三つ巴となることで人は要介護状態になるとされます。個人差はあるものの顕著に表れるようになるのは70歳を過ぎた頃からです。

ただ、一方でフレイルの段階で食事を見直す、運動する、生活習慣を改善する、社会参加を行うなどの手を打つことで健康な状態に戻る可能性もあると考えられています。一度その状態に陥ったからといっても諦めずに生活を変えていけば良いというわけです。

肥満は万病のもと

ここまで痩せることから生じる危険を説明してきましたが、太っていることにも危険があります。自分が痩せているのか、太っているかを知るためにはBMI(BodyMassIndex:体格指数)を使うのが一般的です。計算式は以下の通り。

〔BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)〕

身長175㎝で体重が70キロの人であれば、70÷1.75÷1.75となり、BMIは22.85。日本肥満学会では19.00以上〜25.00未満を標準としているので、この人は標準ということになります。これが25.00以上になると肥満となります。肥満は4段階に分けられており、25.00以上30.00未満が1度、30.00以上35.00未満は2度となり、35.00以上40.00未満(3度)と40.00以上(4度)は高度肥満とされます。ちなみに日本人でBMI30以上の超肥満者は約3%です。

幸い、日本では脂肪除去が必要なほど肥満している人は少ないものの、食生活の変化などで男性では肥満者の割合が年々増加傾向にあります。当然、さまざまな病気のリスクは高くなります。

肥満が引き起こしたり、下地になったりする病気としてはランダムに挙げただけでも糖尿病、高血圧、通風、高脂血症(脂質異常症)、胆石症、脳梗塞、腎臓病、睡眠時無呼吸症候群狭心症心筋梗塞、乳癌、子宮体癌、大腸癌などなど。認知症にもなりやすいという研究もあります。体重が増えたというだけでは医者にかかる必要があるとは考えない人が大半ですが、背後に隠れている病気が多いことを考えると、もう少し体重には気をつけたいところです。

肥満は新型コロナウイルス感染症重症化のリスクにも

さらに最新の情報では肥満が新型コロナウイルス感染症を重症化させるリスクがあることも分かってきています。一般社団法人日本生活習慣病予防協会が2020年05月12日に伝えたところによると、ニューヨーク市で2020年3月3日~27日に入院したCOVID-19患者の電子カルテのデータを解析した結果、393人の患者のうち、35.8%がBMI30以上の肥満で、人工呼吸器が必要となった患者の43.4%が肥満だったのだとか。

基礎疾患があると重症化しやすいことはすでに言われていますが、同サイトではそのうちでも多いのが糖尿病、慢性肺疾患、循環器疾患と伝えています。特にICU入院を必要とした患者では糖尿病を基礎疾患とする比率が高かったとも。

糖尿病が肥満から引き起こされることはご存じの通り。糖尿病であることが分かったら1キロでも体重を増やさないことが大事ですし、そうでない場合でも体重増はプラスには働きません。太って良くなることはないと肝に銘じ、食事の美味しい日本では難しいことではありますが、適宜食事の制限などを行って適正体重をキープしてください。

日本生活習慣病予防協会
http://www.seikatsusyukanbyo.com/calendar/2020/010188.php