人生100年時代ブログ

2020.08.23

症状から病気を考える⑥~頭痛~

●頭が痛い

よくある症状ながら、楽観し過ぎないことが大事

頭痛、腹痛などといった身体の痛みは医者にかかるきっかけとしては非常に一般的なものです。特に頭痛については日常的に悩まされている人も多いはずです。

そんなよくある痛みながら、頭痛の原因についてはまだ分かっていないことも多々あります。しかも、9割ほどは他に疾患のない一次性頭痛あるいは慢性頭痛と呼ばれるものですが、一部には他の疾患に起因する二次性頭痛もあり、それらのうちには生命に危険を及ぼす頭痛もあります。たかが頭痛だから、いつものことだからと楽観視していてはいけない場合もあるのです。

では、どんな頭痛に気をつけたら良いのでしょうか。ひとつ、明確に意識したいのはいつもと違うと感じるような頭痛です。具体的には今まで経験したことがないほどの痛みがある、突然に起こった、いつもより頻繁に起きるようになった、痛みが増しているなどの場合です。それ以外でも50歳以降に初めて起こった頭痛、発熱などを伴う頭痛、項部硬直(仰向けの状態で頭部を持ち上げられた時に抵抗がある、痛みを伴う)がある頭痛、癌その他の病気のある人の頭痛にも注意が必要です。

二次性頭痛にはくも膜下出血、脳出血、髄膜炎、脳腫瘍など危険な病気も

二次性頭痛の原因となる病気には様々なものがありますが、代表的なものとしては突然、殴られたような激烈な痛みに襲われるくも膜下出血や脳出血があります。頭痛と同時に吐き気がしたり、嘔吐することもあります。

くも膜下出血とは脳を覆っている、外側から硬膜、くも膜、軟膜の3つの膜の隙間のうち、くも膜と軟膜の間、くも膜下腔で動脈瘤の破裂などが原因となって出血が生じる病気です。出血量が多い場合には脳が圧迫されて意識が朦朧としたり、意識を失ってしまったりすることもあり、発症すると約3割ほどがそのまま命を落とすと言われています。

予防は難しい病気ですが、覚えておきたいことが2点あります。ひとつは高血圧、脂質異常症などの生活習慣病がある場合、喫煙、過度な飲酒歴がある場合に発症しやすいといわれていること。

もうひとつは遺伝による影響です。親族にくも膜下出血が疑われる突然死をした人や、発症したことがある人、脳動脈瘤がある人がいる場合は早めに脳ドックを受けるなどして、自分に危険がないかをあらかじめ検査しておきたいところです。また、高血圧は動脈瘤破裂を引き起こす要因となるため、血圧のコントロールも重要です。

血圧に関連して注意したいのは気温が下がり、血圧が上がりやすい冬季です。血圧が関与する病気は1~2月に発症することが多く、くも膜下出血も春~夏の2~3倍起こりやすいと言われています。住宅内の温度差を無くすことなども含め、注意しましょう。

くも膜下出血以外では高熱を伴う頭痛が起きる髄膜炎、短期間に頭痛の痛みがどんどん激化する脳腫瘍なども生命に危険が及びます。

髄膜炎は脳や脊髄を守る髄膜と脳、脊髄の間にある髄液という液体及び髄膜に炎症が起こる病気で、ウイルスや細菌などによって炎症を起こす病気です。感染症以外では悪性腫瘍や自己免疫疾患、薬剤などが原因になることもあります。発症すると生命に危険があるほか、長期的な後遺症が残ることもあり、早期に診断、治療することが大事です。

それ以外では頭頸部外傷や傷害によって引き起こされた外傷後頭蓋内血腫による頭痛、薬物の乱用による薬物乱用頭痛、顎関節症など頭蓋骨や顎、眼、耳、歯など顔面や頸部の構成組織の障害によって引き起こされる頭痛、心身症など精神疾患から引き起こされる頭痛などもあります。

慢性頭痛には片頭痛以下、4種類があります

生命への危険まではないものの、生活の質を左右するのが慢性頭痛です。これには大きく4種類があります。

ひとつはずきんずきんと頭の片側が痛む片頭痛です。我慢できない痛みが続き、身体を動かすと悪化するのが特徴で、頭痛と同時に吐き気がすることもあります。また、光をいつもより眩しく感じる、音に敏感になるなどの症状が出ることもあります。人によっては予兆として空腹感が強まる、生あくびが出る、イライラする、手足がむくむなどが起きることもあります。

片頭痛の持続時間は3~4時間から2~3日と人によってかなりの幅があり、男女でいえば女性に多く見られます。また、そのうちの半数ほどは月経時に起きることが多く、その時にはいつもより持続時間が長く、痛みが激しい、薬が効きにくいことを自覚しているとも。分かっていても起こってしまうのは辛い話です。

片頭痛が起きる原因はまだはっきりとは分かっていませんが、ホルモンや体温の調整、心臓の機能維持など重要な働きを担う脳の視床下部が関係していると考えられています。 片頭痛が起きたい時にはまず、痛む部位を冷やすこと。温めたり、もんだりすると逆効果になることがあるので注意しましょう。同様に入浴も避けたほうが無難。できるだけ安静にして、睡眠をとるようにしたいところです。

それでも痛みが続き、生活に支障がある場合には医師に見てもらうこと。治療にはトリプタンを使うのが一般的で、痛みが起こったらすぐに使用するようにすると悪化を防げます。トリプタンは三叉神経の周囲の炎症を抑え、脳の血管を収縮させる作用があり、のみ薬の他、水がなくても口の中で溶ける口腔内崩壊錠・口腔内速溶錠や点鼻薬などもあります。

ただし、トリプタンには前述したように血管を収縮させる作用があるため、脳梗塞や狭心症心筋梗塞などがある人や高血圧、肝臓病のある人には要注意です。

男性に多い群発頭痛、薬の使い過ぎによる頭痛も

片頭痛よりも数として多いと言われるのが緊張型頭痛です。これは片頭痛が左右のどちらかが多く、ずきんずきんと痛むのに対し、頭全体が締め付けられるように痛むもの。片頭痛に比べるとなんとか我慢はでき、身体を動かしても痛みが悪化しない、吐き気がしたり、嘔吐することはありません。また、光か、音か、どちらかが気になることはあっても、どちらも気になることはありません。

痛みの持続時間は30分から1週間程度とこちらも個人差があり、人によっては日によって片頭痛と緊張型頭痛が交互に現れる、通常は緊張型頭痛が起きるものの時に片頭痛が起きるなどという混合型の症状で現れる人もいます。

片頭痛と異なり、20~40歳代までの男性に発症することが多いのが群発頭痛です。眼の周囲から前頭部、側頭部にかけて激しい頭痛が生じ、かつ一定期間に頭痛を繰り返す(群発)のが特徴で、ある特定の季節には連日、同じ時間に痛むといった規則性、周期性があります。

片頭痛同様、原因については分かっていない部分もありますが、ある時期の決まった時間に発生する特徴から時間遺伝子があるとされる視床下部になんらかの問題があるのではないかとする説もあります。

もうひとつは薬の使い過ぎによる頭痛です。頭痛薬は市販されているものも多く、症状が一般的であることもあって、気軽に薬を使用する人が多いのですが、それが習慣になり、飲み続けていると、それが逆に頭痛の原因になってしまうことがあるのです。

頭痛には精神的なストレスも深く関与しており、身体だけで考えるのは難しい場合もあります。他の疾患が関与しておらず、かつ頭痛があまりに続く場合にはストレスを疑い、神経内科などに相談するのも手かもしれません。